【短篇】こ い い ろ 。
「あ、裕也。戻ってきた」
裕也ー!と語尾にハートでもつけてんじゃないのかと思うくらい鬱陶しい呼び方をする金田。
裕也はこっちに向かってくるし。あーなんかムカつく。嫌だ。嫌い。もうなんで生きてるの。
裕也なんて、裕也なんて……
「なぁ裕也、アレ、3組の子だろ」
「あ?あぁ、多分」
なんだその余裕な顔。
横顔だけでもう俺余裕って感じが出てるんだけど、裕也。
「で、告られたの?」
金田の質問に私はドキリと心臓が跳ねた。
……まぁ、大抵告白だろうけどさ。
「おう」
ほら、やっぱり。
「返事は?」
「ノー」
へぇ、振ったんだ。いつも振ってるけど、なんでそんなことするんだろうね。
いつもキレイな子か可愛い子ばかりに呼ばれてるじゃん。付き合えばいいのに。
「なんで?あの子結構かわいーじゃん」
私は頬杖をついた。でも聞き耳は立てたまま。
この質問の返事は、俺はもっとエロい子がいい!とかそんなくだらないことなんだろうなー、なんて思ってた。
思ってたけどさ。
「俺、好きな奴いるから」