【短篇】こ い い ろ 。
 


いや、そもそも竹本君と私は日直の仕事で、資料室で先生に頼まれた資料を探していたのだ。「竹本君、あったー?」「ない」「私もー。本当に先生って面倒な仕事押し付けてくるよね。こっちは早く帰りたいってのに」「……」
って、無視かよ。と思いつつ私はつつ……と綺麗に整頓されて棚に入っている大量の資料の背を指でなぞって、その資料を探した。そして少しの時間が経って、私の指がぴたりと止まった。
「あ、あった」
反対側にいた竹本君の方をくるりと向こうとした時……そこからなんだか目が回ったようになって、気づけば竹本君の顔が上にあったのだ。



 
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