天然男とツンデレ女
「じゃあ返事だけ言う。」
「だからさっき聞いたってば!」
泣きそうになるのを必死に堪えながら言ったのに、優菜はそう言って耳を塞いでしまった。
どうしたらいいんだよ。
男のくせに、泣くとか情けないって思うけど、でもこの状況で泣かないとか、無理。
俺には無理。
生暖かい雫が頬を伝っていくのをお構い無しに耳を塞いでしまった優菜に聞こえもしないのに呟いた。
もう、どうしていいのかわかんないし。
「好きだし…!」
俺のが、早くから好きだったもん。
耳を塞いでいた優菜の手を掴んで引っ張る。
「ぃやっ!」
「優菜が高校に通いはじめた時から、俺は好きだしっ!」
聞きたくないと言うように首を振る優菜に聞こえるように思い切り耳元で言ってやった。
「今、ごめんって言ったじゃん!」
それでも優菜は認めてくれない。
きっと、本当は信じたくてしょうがないのに。
「本当に、素直じゃないんだね」
目の前で俯いて大きな瞳から涙を溢しまくる優菜に苦笑しながら呟いた。
そのまま優菜の握っていた手首に小さくキスを落とす。
そしたら優菜が大きく跳ねて今度は顔を赤く染めた。