カモミール・ロマンス
夏休みも1週間後に控え、教室はなんだかソワソワとしている。
勇気と直也、美咲は翔の席にいた。
「あー、それで翔今日は休みなんだ」
その机の主は今ごろ自宅の布団の中で、冷えペタを貼って眠っているころだ。
「ところでヘルパンギーナって何?」
今朝の翔からの電話で聞いた聞き慣れない言葉。
勇気は2人に聞く。
「ヘルパンギーナ?誰それ?」
ヘルパンギーナと聞いて人物名だと思ってしまう、勇気と同じレベルの直也。
美咲は聞き覚えがあるのか、何回か反唱しながら空を仰いでいた。
「あぁ、夏風邪の一種よ確か。よく小さい子がかかる喉が凄く痛くなって熱が出るやつ」
「小さい子がかかるって……翔は小さい子だったん?」
「翔ってよく近所の子供達と遊んであげてるから、移されちゃったんじゃないかな?」
子供と遊んでいたら夏風邪を移されてしまう。
なんとも翔らしいが、なんとも不憫なものだ。