カモミール・ロマンス
「インフルエンザとは違うの?」
「同じ感染症の一種だけど、たぶんインフルエンザと違ってヘルパンギーナは公欠にはならないわよ。
翔確か皆勤賞かかってたのに残念ね」
「ふーん、そっかぁ。じゃあしばらくは朝1人でバス乗らなきゃいけないのか……嫌だなぁ」
そう言って勇気がふてくされたように、唇を尖らせる。
美咲は優しく微笑んで言う。
「ま、1週間もかからない内に元気になるわよ」
「でも今週の期末テストとかどうするんだろうね。……やっぱ追試とか補講?」
「まぁ、そうなるんじゃない?翔は頭悪くはないから大丈夫だと思うけど……」
「でも決して良くはないから、分からないけど」という内なる声が聞こえてしまって、勇気と直也が小さく笑った。
そして直也がぼそりと言う。
「……体調管理って大切だよね」
「……うん、そだね」
「……うん」