カモミール・ロマンス
うららかな春に
「ああ、春だねぇ」
「うー、春ですなぁ」
ぽかぽか陽気に照らされて、陽なたぼっこをしている翔と直也と勇気と美咲。
じじくさい台詞を言っている翔と直也。
強い日ざしに目を細めている勇気。
そして美咲は
「ねぇ、美咲さっきから何してんの?」
直也がだるそうな声で聞く。
「んー、ちょっとね」
そう言いながら真剣に小さな厚紙を重ねている。
「……お札?」
「え、お札ってキョンシーに付いてるアレ?」
勇気と翔のボケにもツッコミが入ることはなく、温かな日差しと熱い視線が美咲に注がれている。
「な、何よ?さっきから」
視線が気になって美咲が手を止めた。
「いや、だから何を作ってんのかなー?って」
「かなー?って」