カモミール・ロマンス
オレンジの海で
「ふぁーあ」
ザザーン。。。。
ザザーン。。。。
「くぁあ」
目の前の視界いっぱいに広がる青い海。
そんな見晴らしの中であくびをする直也。
「ちょっと、どうなってんのよ?なんで海は目の前にあるのにたどり着かないわけ?」
夏の日差しで額に流れる汗がキラキラと光っている。
現在気温35℃。
麦わら帽子をかぶり日焼け止めを塗りたくった美咲だったが、心なしか赤くなっている。
「さっきから民家にばかり行き着いて、一向に海との距離が近づいていないよね……」
真っ白のシャツが汗で肌にくっついてしまっている翔が、気持ち悪いのだろう何度も自分のシャツを引っ張る。
勇気はもう20分は前に上着を脱ぎ、タンクトップ一枚になっていた。
「あれ?この家の看板見たことあるような……ないような……
……だぁぁぁっ、分からん!!」
頭を抱えて絶叫する勇気。
それもそのはず。
勇気達が最寄りの駅から海を目指してもうすぐ2時間が経過しようとしていたのだから。