カモミール・ロマンス



ザザーーーン。


ザザーーーン。



青い水面を駆け抜け、沖に白く光る波。


「や……やっと着いたぁーーー!!」

汗でびしょびしょになってしまったシャツを脱ぎ捨て、一目散に砂浜を走る。

美咲以外は服の下に水着を着込んでいて準備万端。

「ひゃっほーい」

「海だー」

「ふぁ……暑ぃ」


男3人は海に向かってまっしぐら。

「私は着替えてから行くからねー」

美咲の声に振り向きもせずに、背中越しに手を振って3人は了解の合図を送った。

ザッザッ。と裸足で砂を撒き散らしながら、陽射しに向かって走る。

「僕が一番乗りだ!」

「さーせるかぁ!」

真っ先に海に飛び込もうとした翔の肩を掴み、砂浜に倒す勇気。

「はっはっは一番乗りはこのオレだぁ!」

「……まだまだぁ!」

翔を倒して走っていこうとした勇気の足を翔が掴む。

「くっ、こしゃくな」

「ふふふ一番乗りは誰にも渡さないよ。例えユキであってもね」


2人がなんだかよくわからないB級ドラマを演じ始めた時だった。

「おーい、何してんの?早く来れば?」

1人気持ちよさそうに海に浸かる直也が2人に手を振っていた。

「あ、そういう感じね」

「うん、そういう感じみたいだね」

2人は顔を見合せ砂だらけになったお互いの顔を見て笑った。

「ナオ1人だけズルーい」

「そうだ、オレ達も入らせろー!」



水飛沫の音が辺りに響き渡った。




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