カモミール・ロマンス
バシャバシャと水を掛け合う勇気達。
何時間も歩いて火照った身体に冷たい水が何とも心地よい。
勇気の兄のお薦めは本当に穴場だったようで勇気達の他には、おそらく近所の人なのだろう釣竿を持ったおじさんがいるくらいだ。
すると勇気達に近づいてくる足音が。
「……あ、美咲」
「へっへへー、どうかな?」
ピンクに花柄の入ったビキニに着替え、普段はあまり見かけないポニーテール姿の美咲。
「わぁ、美咲その水着可愛いよ。似合ってる」
「髪形も新鮮だね。良いじゃん」
翔と直也におだてられ照れ笑いをする美咲。
美咲がちらりと勇気の方を見る。
「ん?」
その視線に気付いた勇気。
「もうちょっと胸があったらドキドキすんのにな。残念だったな美咲」
飛びきりの笑顔で言う勇気。
「はははは………
死ね」
ゴツッと勇気の頭に拳骨が落ちて、遠くで魚がパシャっと跳ねたのだった。