カモミール・ロマンス


気ままに綺麗な海を泳いでみたり。

砂浜に直也を埋めてみたり、そんな中直也は普通に寝ていたり。

砂の城を作ろうと思って土台を固めていたら、あっけなく波にさらわれてしまったり。

持参したビーチボールでバレーをしたり。


燦々と輝いていた太陽が傾きだし、ゆっくりとゆっくりと沈んでいく。

「はー、遊んだ遊んだぁ」

砂浜に大の字に寝転がる美咲。

直也はまだ砂の布団に入ったまま寝ている。

翔は「探検してくるね」と言って、濡れたままの身体に半袖のパーカーを羽織って港の方に向かっていった。

「おーい、美咲」

勇気はまだ海で遊んでいる。

「なにユキ?」

「いいから、来て来て」

手招きをする勇気。

美咲は起き上がって、また海に足をつけた。


「見てここ。ほら」

勇気が近くを指差す。

「え、なにこれ?凄く綺麗」


水の底から浮かび上がるオレンジの光。

それが波でキラキラと揺れる。

「なんか知らないけど、この下だけガラスみたいなのが沢山沈んでるみたい。

それが夕陽を反射してるんだと思う」

にっ、と笑う勇気。

美咲は時折「綺麗」と言い、いつまでもその光と勇気の横顔を見つめていた。



「…………」


そんな2人を見つめる直也が、小さなため息を吐いたのだった。





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