カモミール・ロマンス

むすんでひらいて



朝、登校した美咲が下駄箱を見ると、上履きの上に一枚の手紙が置いてあった。

美咲はそれを手に取り、封を切る。






「おはよー美咲」

後ろからの声に美咲は肩をビクッと揺らして振り返った。

「美咲?」

そして真央の顔を見た瞬間に安堵の表情を浮かべる。

「美咲、どうかした?」

美咲は背中に隠したそれをギュッと握り締める。

そして笑顔を作り言うのだった。

「何でもないよ。朝ごはん食べてこなかったから調子でないだけ」


震える手で上履きを取り、それに履き替える。

「美咲やっぱりおかしいよ。保健室行く?」

明らかに様子のおかしい美咲に親友の真央が気付かないはずもなかった。

美咲は首を振る。

「ほら授業始まっちゃうよ」

そう言って振り返りもせずに教室に向かっていく美咲。

真央は胸が締め付けられる思いをかかえたまま美咲とは違う教室に向かった。







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