カモミール・ロマンス


昼頃とあるブースに人だかりができていた。

「え、なになに?有名人でも来てるの?」

人だかりを見て駆け付けた美咲がそう聞くが返答はない。

どうにかこうにかして、その人だかりを掻き分けて行くとそこには。

『ようこそ執事喫茶へ』

とポップに描かれていた。

「え、これってこの喫茶店に並んでる人達なの!?」


ざっと数えただけでも四十人は立って並んでいる。

看板の端っこには小さく『限定1時間のみオープン』と書かれていた。

美咲が試しに列に並ぼうとした時だった。

ガラガラッと扉が開き、他校の女生徒が2人でてきた。

「それでは行ってらっしゃいませ、お嬢様方」

ビシッとタキシードを着こなした長身の男の子が、さわやか過ぎる笑顔でそう2人を見送った。

2人はへろへろと歩き、少しして座り込んでしまう。
赤らんだ顔は笑顔に満ち、幸せそうな顔をしている。


「な……中ではいったい何が???」






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