カモミール・ロマンス
カモミール・ローマン
沙織達が校門を抜ける。
昼過ぎとあってか、そこらを歩く人達の手には焼きそばやフランクフルトが握られている。
「へーっ、結構活気あるもんなんだねぇ。
流石は共学って感じ?」
香代はキョロキョロと辺りを見渡す。
「……んで。
やっぱり制服はあたしらだけか……」
そう言って笑った。
「今度学校の皆にも「文化祭行く時は私服で良い」って教えてあげなきゃだね」
「いやー、あたしら以外に男子がいる文化祭に行く人いないでしょ、あの学校」
そう言って2人で笑った。
「ユキ君との待ち合わせまで少しだけあるし、何か食べる?」
焼きそばの香ばしい匂い。
フランクフルトやチョコバナナは歩きながらでも食べやすい。
懐かしのミルク煎餅なんかも良いかもしれない。
「そうだなー。私まだお昼食べてないしなぁ。
そだ、焼きそばにしよう」
香代がそう言って「ねっ?」と確認するので、沙織はにこっと頷いた。
勇気は沙織に焼きそばの屋台を出していることを伝えなかったが、偶然にも沙織は勇気達のブースを訪れる。