カモミール・ロマンス
校門の前では香代が沙織を待っていた。
携帯を覗いていると沙織がやってくる。
「沙織遅いぞぉ。あの人とどっか行っちゃったのかと思っちゃったじゃんかよー。
……って、沙織?どうしたの?」
沙織は顔を赤くしながら俯いていた。
香代は沙織に歩み寄り背中に手をおく。
「さっき、ユキくんに「好きだよ」って言われた……」
「そう。良かったね」
香代は沙織の反応で2人がまだ付き合うに至らなかったことが分かって、あえて追及したりはしなかった。
「さぁ、来週は模試だってあるし勉強、勉強」
香代は豪快な笑顔をしながら、沙織の背中を軽くポンポンと叩いた。
沙織は二回頷いた。
そして2人はゆっくりと桜ノ宮付属を後にするのだった。