カモミール・ロマンス


散々はしゃいだ後でだらだらと片付けをしていたら、クラスで先生にこっぴどく叱られた。

後夜祭は独特の盛り上がりで、元気が3年達に交ざって盛り上げ役をしていた。

亮平は本当に最初後夜祭に現われなくて、副委員長の大野が震えながら司会進行をしていた。

約1時間後に亮平は柳瀬と一緒に現れて、柳瀬はぐったりとしていた。







「どひー、疲れたぁ」

家に着いたのは8時頃になって、勇気は真っすぐに自分の部屋に向かった。

ベッドに疲れた身体を乱暴に放り出して、ポケットから携帯を取り出す。

『ユキ君、今日は本当にありがとう

最後の言葉も本当に嬉しかったよ
またメールしたり、今度はどこかに遊びに行ったりできたら嬉しいな

それじゃあ、また
沙織』

目を瞑るとカモミールの香りがするような気がした。

「あれ?そういや、何て言ってたっけ……

カモミール……カモミール・ろーまんす?」



雲に覆われた月がほのかに街を照らしていた。

制服のまま眠ってしまった勇気だったけど、いつもより穏やかな表情で、寝息をたてるのだった。








< 178 / 228 >

この作品をシェア

pagetop