カモミール・ロマンス


直也は「まいったな」と言って、頭をポリポリとかいた。

「他のやつは分からないけど、オレは美咲が好きだからからかってたんだよ。

面白がってただけだったのに、こうやって泣かせちゃってたんだね」

直也は何故か泥どろになっているハンカチをズボンのポケットから取り出した。

美咲は首を振る。

「す、好きって……」

「うん、好き。

だって美咲はクラスで一番可愛いと思ってるよ?オレ」

「な、な……」

美咲は顔を真っ赤にして俯いた。

泣き止んでいたことに安心したのか直也は微笑む。

「自分より背の低い男は嫌ですか?」

直也はまた桜の花を美咲に差し出した。

美咲はそれを受け取る。

「はい、自分より背の低い男子は嫌です」

そう言って美咲が笑った。

直也は美咲の笑顔が好きだったし、何よりもその表情が一番可愛いと思っていた。

「うわーフラれちゃった。

あ、じゃあさ、約束しようよ」

「約束?」

直也はにっと笑う。






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