カモミール・ロマンス

2人の距離で


桜が散り、肌寒かった風が柔らかくなりつつある頃。

勇気はいつも通りにバス停でバスが来るのを待っていた。

その隣に翔の姿はない。

「遅いなぁ翔のやつ。

遅刻するんだったら連絡くらいよこせよなぁ」

決して車通りの激しい道ではないけれど、朝は通勤ラッシュで車がびゅんびゅんと行き交う。

晴れ渡る今日の空みたいに青い車が通り過ぎていき、勇気はそれが見えなくなるまで目で追い掛けた。



勇気が沙織に気持ちを伝えてから早くも5ヶ月が過ぎようとしていた。








< 193 / 228 >

この作品をシェア

pagetop