カモミール・ロマンス


昼休み屋上。


もう3人だけの昼食にも慣れてきていた。

「え、今度美術館行ってくるの?

沙織さんと2人で?」

「会いたい」と送ったメール。

その返事に勇気はうかれ気味。

「なんか今度、駅前の美術館で有名な日本人画家の展覧会があるみたいで。

それに、良かったら一緒に行かないか?って」

勇気のカレーパンは袋を開けられたまま、口をつけられないでいる。

「それってデートだよね?やったじゃんユキ」

翔は素直に、勇気のことを喜んだ。

そんな翔に勇気の胸が温かくなる。

「でもさ……

美術なんてユキ分かるの?

美術の成績2じゃん」

桜ノ宮附属の成績は10段階評価で数字が大きいほどに優秀。

つまり、そういうことである。

「教科書のモナリザを見た感想が、マツコ・デトックスも痩せたらこんくらい綺麗になるかな?だったっけ?」

毒舌コメンテーターを引き合いに出しての美術の感想とは、先生もビックリである。






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