カモミール・ロマンス
「……ふあーあ」
そしてかれこれ一時間が経過しようとしていた。
目ぼしい花を摘んだ美咲も四つ葉を探していたが、3人がかりでも見つかってはいなかった。
「くぁーっ!何処にもねぇ」
手とか膝とか土まみれになりながら勇気が叫ぶ。
ずっとしゃがんで探していたものだから翔もうっすらと汗をかいていた。
「んー、これだけ三つ葉が集まってたら一つくらいあっても良いのにな」
河川敷の草むらで真剣に四つ葉を探す3人。
それを一歩も動くことなく見ている直也。
すると美咲が何かを思い出したみたいで、急にばっと立ち上がった。
「そーだ!」
勇気と翔も手を止めて美咲の方を見た。
「なんだよ美咲?」
「人の踏むとこよ。四つ葉は人がよく踏む所によく生える。ってこの前なんかのテレビでやってた」