カモミール・ロマンス


部室の鍵を閉めた翔が、誰もいない校庭を横切っていく。

グラウンドを歩いているとほんの少し前のことを思い出してしまう。


去年までは楽しく部活をしていた。

弱かったけど、みんな楽しそうに。

今はどうか?考えると少し怖くなる。

皆はちゃんと部活を楽しいと思っているのか?

自分はキャプテンとして皆にそう思ってもらうことができているのか?

「……るな」

翔は首をふる。

「弱気になるな!」

そして自分の頬を両手でパンと叩く。

自分に活を入れて、翔は不安を振り払う様に歩調を早めるのだった。

活を入れただけでは拭いきれない不安。











「翔くん」






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