カモミール・ロマンス

美優を家まで送るために歩いていく。

美優の歩幅は狭い。

翔は意識して歩幅を狭めている。

「この前言ってたドラマ見ましたか?」

テレビの話、学校の話、お互いの友達の話、弱音だって言い合える。

そんな関係が二人にはとても心地がよかった。

「えっと美優ちゃんの好きなマエケンが主演のやつだったよね。

ビデオに録画したけどまだ見れてないや」

「もう、ちゃんと見てくださいよ?

私もっともっと翔くんと色んな話したいんです。
私のことをもっと知ってもらいたいし、翔くんのこともっともっと知りたいから」

「うん……僕もだよ、美優ちゃん」

何か不満があるとしたら、付き合いはじめてそろそろ半年が経つのにまだキスもしていないこと。

< 217 / 228 >

この作品をシェア

pagetop