カモミール・ロマンス
突然の美優からの誘いに困惑する翔。
美優はもう後には引けないと思ったのか、畳み掛ける様にいう。
「前に翔くんが見たいって言ってたダンバ大阪のビデオもあるし、昨日パパが買ってきてくれたホロゾフのプリンだってあるし……」
その美優の一生懸命さを見て翔は自分を情けなく感じた。
「うん、じゃあ少しだけお邪魔させてもらおうかなな」
「ほ、本当に?」
「うん、美優ちゃんさえ良ければ本当に」
なんてことはないことでも、二人にとっては大きなことだった。
「はい」
暗証番号を入力するとガラス張りの扉が開く。
二人はゆっくりと中にはいつていく。