カモミール・ロマンス
靴箱の上の芳香剤の匂いは甘いオレンジ。

白い壁に飾られているひまわりの絵と家族写真のパネル。

「しょうくんどうぞ」

「あ、うん。お邪魔します」

開かれていた扉からリビングが見えた。

すっきりと掃除がされているリビング。

テーブルの上にはサッカー雑誌があった。

それが誰の物かは聞かなくても分かる。

「この奥が私の部屋です。片付けばしてるつもりですけど、汚れてたらごめんなさい」

美優の部屋の扉には可愛らしいクマの表札がかけられていた。

扉を開けると、その表札が揺れてカランと音をたてた。

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