カモミール・ロマンス
「じゃあ早速四つ葉を採ってみようよ」
そわそわしながら翔がそう言って、ごくりと生唾を飲んだ勇気が手を伸ばす。
「そーっと。そーっとよ」
1時間半も汗だくになりながら探した四つ葉。
今までの苦労で溜まった疲れだって、それを見た瞬間に何処かへ飛んでいった。
「お……おお、お……」
茎に手を掛けた勇気の腕が小刻みに震える。
よくよく見るとなんだか勇気の顔色が悪い。
「ゆ……ユキ?」
「ふんがーーーっ!!」
思い切って四つ葉をちぎりとった勇気。
その手の中で四つ葉が
「……………あ、葉っぱ取れちゃった」
勇気の手の中で葉っぱが無残にも取れていた。
「ちょ、あんたなんでそんな葉っぱギリギリをちぎるのよ。普通茎のとこでしょ」
葉っぱが枝分かれしているギリギリをちぎってしまった為に、一枚だけ葉っぱがちぎれてしまった様だ。