カモミール・ロマンス
突撃となりの昼ごはん
「はぁ。瀬谷先生格好良すぎ……」
四時間目、英語の授業が終わった昼休み。
美咲のこの言葉から始まった。
「瀬谷先生か、確かに格好良い人だよね」
英語講師、28歳で独身。
柔らかいウェーブがかかった髪、長身、お洒落メガネを着こなす。
「なんか外国の大学出てるらしいな。クラスの女子が騒いでた」
昼休みは屋上で陽なたぼっこをしながら弁当を食べるのが4人の日常。
「それに優しいし女子にも人気……神様は不公平だねぇ」
直也がちらっと勇気を見ながらそう言ったことに、勇気が気付く。
「ちょ、待て。今何でオレの方をちらって見たんだ?」
直也に詰め寄る勇気。
「やだなぁ意味なんてないよ。長い人生でユキのことを、意味もなくちらって見ちゃうことだってあるじゃない?」
「ウソつけ。絶対、瀬谷先生と違ってオレには何もねぇとか思っただろ!」
ぐっと胸ぐらを掴む勇気を翔がなだめる。
「まぁまぁ。ナオだってそんなこと思ってないよね?」
「あー……(かなり長い間)……そこまでは思ってない、かな?」
「てめぇ、やっぱりそれに近いこと思ってやがったんじゃねぇか!」