カモミール・ロマンス


直也が二階を探していると、一番奥のクラスの廊下で瀬谷が女生徒達と話をしていた。

そこに直也が入っていく。

「ちょっと瀬谷先生に話があるんだけど……良いかな?」

「……は、はい」

女生徒達は顔を真っ赤にしながら、聞こえないくらい小さな声で返事をした。

「きゃー直也くんに話しかけられちゃった」

女生徒達は去りぎわにヒソヒソ声でそんなことを話していた。

実は直也は女生徒達から人気がある。


「それで、話って何かな木村君?」

瀬谷に聞かれ直也が真剣な表情をした。

それに気付いた瀬谷も真剣な表情になる。

「先生……」

一呼吸置いて。

「メガネとってみてもらって良いですか?」

「…………え、うん」

よく分からないが凄く生徒が真剣な表情をしているので、教師としてそれをうやむやにはできない。

そんな正義感を抱きながら、ゆっくりとメガネを外した。







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