カモミール・ロマンス
「山田くんは自分の何処が足りていないと思う?」
質問を質問で返され、翔は悩む。
「えっと……サッカーは好きだけど上手くないし、勉強もパッとしないし、優柔不断?なとこもあるし……沢山です。」
「そっか……じゃあ僕も一緒だ。」
「え?」
ますます分からなくなってきて、翔は眉を寄せる。
それを見る瀬谷の表情はとても穏やかだ。
「足りないものってさ、自分にしか分からないんだよね。だって、自分の中の定規で計ってみなきゃ分からないものなんだもん。」
瀬谷は引き出しから定規を取り出す。
そして卵焼きを箸で掴んで、卵焼きの厚さを計り始めた。
「……3センチちょっとか。山田君、この卵焼き太いと思う?」
「あー、うちのより大きくて美味しそうです。」