カモミール・ロマンス



「山田くんは自分の何処が足りていないと思う?」

質問を質問で返され、翔は悩む。

「えっと……サッカーは好きだけど上手くないし、勉強もパッとしないし、優柔不断?なとこもあるし……沢山です。」

「そっか……じゃあ僕も一緒だ。」

「え?」

ますます分からなくなってきて、翔は眉を寄せる。

それを見る瀬谷の表情はとても穏やかだ。

「足りないものってさ、自分にしか分からないんだよね。だって、自分の中の定規で計ってみなきゃ分からないものなんだもん。」

瀬谷は引き出しから定規を取り出す。

そして卵焼きを箸で掴んで、卵焼きの厚さを計り始めた。

「……3センチちょっとか。山田君、この卵焼き太いと思う?」

「あー、うちのより大きくて美味しそうです。」




< 38 / 228 >

この作品をシェア

pagetop