カモミール・ロマンス
スポーツデイ
4月も終わりの水曜日。
空は曇り。風は若干あって、草がさらさらと擦れる。
「ユーキ、おはよう」
バス停でバスを待つ勇気の元に翔がやってきた。
「おう、おはよ」
通勤のサラリーマンが2人。
隣町の病院に行くいつものおばあちゃん。
そして勇気と翔がバス停に並んでいる。
「…………くすっ」
すると突然、翔が勇気を見て笑いだした。
「なっ、なんだよ?」
いきなりのことに驚く勇気。
「ううん、ごめん。ユキあれからずっと、バス停にいる時すごいぼーっとしているんだもん」
あれからずっと。
勇気は確かに翔の言う通りで、無機質に流れていく通勤の車をじっと眺める。
「……単純にさ。また会えたら良いのになって思う」
「うん、そうだね会えたら良いよね」