カモミール・ロマンス
昼休み屋上。
「スポーツデイかぁ。そういえばそんなイベントあったね去年」
翔の今日の昼食はハムサンドとメロンパン。
「あ、翔がまたメロンパン潰してる」
「へ?皆はやらない?」
メロンパンを平らに潰す翔を見て勇気が笑った。
「やらないわよ普通。メロンパンは外のサクサクと中のフワフワが命なんじゃない」
美咲は母親特製のスタミナ弁当。
大盛りの焼き肉に目玉焼き、彩りにパプリカの香味炒めも。
とにかく美咲はよく食べる。
「えー、だってメロンパンって大きくて食べにくいんだもん。ユキもやるよねぇ?」
勇気に助けを求める様に言う翔。
勇気はカレーパンをかじりながら言う。
「ゴメンやらない。てか、あんまりメロンパン自体食べないかな。オレはカレーパンとジャムパン一筋」
カレーのスパイスの香りが柔らかい春風に乗り、のんびり昼寝モードに入っている男の鼻をついた。
「ふあ。あー、ユキ美味しそうなの持ってるー。ちょっとちょうだいよ」
直也がゆっくりと身体を起こす。
「別に良いけどナオ弁当は?」
「んー、なんか玄関に置いてきちゃったみたい」