カモミール・ロマンス


「何もらったの?」

食べ終わったパンの袋をビニル袋にしまう勇気。

「スターベックスの3000円カード。私コーヒー好きじゃないから真央にあげちゃったけど」

美咲は弁当の中のゴミを勇気の袋に入れる。

いつのまにやら寝転がっていた直也が反応した。

「え、意外と良い物もらえるじゃん。ちょっとヤル気出そうかな」

ごろごろしながら言われても説得力は無いのだが、直也が少しは興味を持ったらしい。

「美咲は4位だったね。1位は確か上山動物園のペアチケットもらってたよね」

「へー、ペアチケットかぁ、良ぃ……」

良いな。と言おうとして口をふさいだ4人。

そうこの4人がペアチケットを貰っても一緒に行く人が居ないのだ。

「……ま、あれだよね。もしもほら今年それもらったら翔一緒に行こう」

「え、ずるい私だって翔が良いし」

「オレも」

大人気の翔が照れくさく笑う。

が、その笑顔は一瞬にして消え去ることになるのだった。

「「「で、翔は誰と行くの?」」」

「え゙っ、いや、あの、その……」

キーンコーンカーンコーン。

翔は始業のベルに救われた。
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