カモミール・ロマンス
「はよーっす」
長身にぼさぼさと無造作に伸びた髪。
肩から下げるタイプのスクールバックを、半ば無理矢理に両肩に掛けた男、木村直也(きむらなおや)が教室に入ってきた。
「ナオ遅いよ、チャイムぎりぎり」
直也は自分の席にスクールバックをかけ。
自分の名前を呼んだ短髪の男、山田翔(やまだしょう)の席の前に座る。
前後逆様に座り椅子の背もたれに身体を預ける様に座った。
「翔が無駄に早すぎるんだよ。今日びの高校生は遅刻ギリギリも普通なジェネレーションだよ。ふぁ。」
直也は年中あくびをしている。
「なに、寝不足?」
翔が心配しているというのに直也はあくびで返事をした。
「ふぁ。いや、がっつり寝た。でもまだまだ寝足りないんだな、これが」