カモミール・ロマンス
Aチーム対Bチーム。Cチーム対Dチームの対戦が始まりました。
体育館の半分を使って行われるミニサッカーは男女8人の混合チーム。
「きゃー、和也くん頑張ってー!」
「大山ぁ!サッカー部の意地見せろよー!」
二階席から好き好きに応援をして、競技を盛り上げる。
そんな中。
「ふぁ」
ディフェンスのつもりなのか分からないが、自陣から一歩たりとも動かない直也。
「いや、うん、こうなるのは分かってはいたよね」
「あのバカ何でここまでやる気ないのかしら」
二階席で見ていた翔と美咲もちょっぴり呆れ顔。
すると相手チームのパスミスでボールが直也の元に。
「あ、ナオがボール持った」
「あれ?キーパーの委員長がなんか耳打ちしてない?」
亮平に何か耳打ちをされた直也の目の色が変わった。
器用にボールをふわりと舞い上がらせた直也。
ボールが地面に降下する中、そのまま思い切りボールを蹴る。
「え、ボレーシュート!?」
コートの半分以上もあった位置から放たれた強烈なシュートがゴールネットを揺らした。
「あ、入っちゃった」
ピピーと鳴り響く終了の笛の音。
「あ、ナオ勝ったね……」
「なんでいきなりやる気だしたのあいつ?」