カモミール・ロマンス
翔る想い
5月も中頃。
暖かい日々が続いていた。
新緑も蒼く柔らかい日差しが肌を包む。
「じゃあ今日の練習はここまで。各自しっかりと汗を拭いて、来週の大会までに風邪をひかないように」
「「「あっしたーっ!」」」
サッカー部の練習を終えた翔。
「翔、お前来週はスタメンで入れるつもりだからな。頼むぞ」
「は、はい。ありがとうございます!」
コーチが校舎に帰っていくのを、お辞儀をしながら見送った。
頭を上げると少しだけ翔はぼーっとコートを見つめる。
「スタメンか……」
初めてのスタメンに翔は戸惑いを感じていたのだった。