カモミール・ロマンス
「……はぁ」
不思議そうに指差され、呆れ顔で見つめられる男。
なんともアンニュイなため息を吐いている。
「……ふぅ。…………はぁ」
窓から外をぼんやりと眺める男、中山勇気(なかやまゆき)。
この漢字をユウキではなくユキと最初から読める人はそう居ないだろう。
「なんか朝からずっとこうなんだよ、ユキ」
翔は肩をすくめた。
美咲も意味が分からずに、朝っぱらから黄昏れている勇気をしばらく眺めていた。
「……これは、恋ですな」
ぽつりと一言、直也が呟いた。
「えっ」
「うそ……」
翔と美咲が改めて勇気を見る。
その瞳はキラキラと輝き、頬は何故だか少し赤らんでいた。
「「こ、恋ーーー!?」」