カモミール・ロマンス
「ちょ、誰?誰に恋しちゃったのよ?ねぇ、ねぇ?」
キラキラした瞳で美咲が勇気に詰め寄る。
もう朝っぱらだっていうのに勇気の首をガンガン揺らして。
ワイシャツの襟が取れちゃいますよ。ってな具合にそりゃもうガンガンと。
「うそ、マジで!?ついに?ってまだ何もあれだけどさ。うわー、恋かぁ。恋」
翔もまるで自分のことの様にそわそわとして、しきりに身体を揺らした。
そんな2人を囃し立てておいて、多分それほど興味は無かったのだろう。
直也が机に突っ伏し、今にも浅い眠りに入ろうとしていた。
「……あ、ちょ、あの」
ガクガクと首を揺らされるものだから勇気はもうくらくら。
ようやくそれに気付いた美咲が手を止める。
くわんくわんと勇気の目の前が回っていた。
「あ、ごめんユキ。で、誰よ?誰に恋しちゃったのよ?」
しっかりと謝って。
そして改めて詰め寄るのであった。