与える者、与えられる者 〜Life〜

母親はその様子を見て這うようにこちらに飛んできた
赤ん坊の笑顔をみて安心したのか涙を流す
『本当にありがとうございました。なんとお礼をいったらいいかわかりません』
涙ながらの感謝の気持ち

康一は『ただ偶然通りかかっただけですお礼なんて』と平然と言いその場を離れ人目のない所までくるとニコッと笑いガッツポーズをした
これは手応えありだ!
本当の感謝を頂くってのはこんな感じなんだと喜び家に帰り家族にこの事を話すと
父親は『それが達成に至るものなら神子になる準備と心構えをもて』と言われ2階にあがり自分の部屋に入りいつものように布団に入った

あ〜本当に自分はこの世を去るんだ
死か・・・
なんだか寂しい気持ちになってきた
でも使命を達成して守川家の伝統は守った
安かに眠ろう

暗い静かな部屋に下からかすかに聞こえるのは母親のすすり泣く声
考えればお腹を痛めて生んだ子の死を受け入れなければならない母親の気持ちを考えた事がなかった

守川家の使命を母親も納得し父さんと結婚した事

使命を受け継ぐ僕が生まれた事
喜びより覚悟の方が大きかったんだろうなぁ

そう思い感謝の気持ちでいっぱいになる


ゆっくり目を閉じるとそのまま深い眠りに入った ・・・





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