与える者、与えられる者 〜Life〜
康一の目がゆっくりと開く
まず周りの状態を確認するように見渡した
目からは涙が出る
いつもの自分の部屋でいつものように寝て起きる朝を迎えただけだ
あれぐらいの感謝の気持ちでは使命を果たせていなかった
それなのに浮かれて自慢気に家族に伝え期待させて神子になる覚悟までして勘違いでしたって・・・
康一は悔しくて情けなくて申し訳なくて涙があふれてとまらない
布団に包まり枕を噛み泣いた
部屋をでていつものようにリビングに向かって朝食をとる
このあたり前ができない
家族に合わす顔がない
『康一!早く起きなさい!遅刻するわよ』
母親のいつもの朝のいつもの声
扉ごしに僕の泣き声を聞いての事だろう
その優しい気持ちに答えるように部屋を出、階段をおりリビングに入ると毎朝見るいつもの風景
父親は新聞を読み
弟は寝癖のついたまま朝食をがっついていた
『おはよう!早く食べなさい』
と母親が言う
康一を想い普段を装う家族愛がそこにはあった