僕の仕事は女王様!
「……オレ悔しかった。マルティーナ様が偽物だって、気付けなかった事が」
「ロルフ……」
「だから、あんたに八つ当たりしたんだよ……悪かった」
うつむいて僕に謝るロルフの顔は、真っ赤になっている。そんな姿を見てつい笑ってしまった。
「もういいよ。ロルフは姉様の事が好きなんだから、怒っても仕方ないよね」
「なっ……何言ってんだよッ!!」
もっと真っ赤になって、一生懸命に弁解してる。そんなに焦んなくても、姉様以外にはバレバレだと思うんだけどなぁ。
「ねぇ、置いていくよ?」
「あっゴメン、レスター」
レスター待たせてたの、すっかり忘れてたよ。
「ほら、早く戻ろう、ロルフ」
ロルフに笑いかけ、僕は手を差し出した。
「……ほんと、同じ顔して笑うな」
僕に聞き取れない、小さな声でロルフは言う。
「何?」
「なんでもないよ」
差し出した手を取り、僕に笑いかけてくれた。初めて、ロルフはアルベルトに笑ってくれたんだ。
「いい?戻るよ」
レスターに促され、僕達は頷いた。
戻ろう、姉様と皆のいる所へ。