二次元ガールとモテモテボーイ




「あわ…すいません!」


反射的に謝ったものの
今のあたしには相手の顔を確認
する余裕なんかない。


再び急いで屋上に向かって走ろう。


と思ったのも束の間。


男子生徒をよけて走ろうと
一歩踏み出した時腕を掴まれた。


前にもあった、確実にあった感覚。


確かあの日駅で椎名颯真に…。


少し嫌な予感がしてきた…。


いや、偶然、偶然だよね。


「だって椎名颯真は売店に居て、
あたしは見つからないように
走って来たんだよ。
だから椎名颯真はあたしと鉢合わせする
ことは不可能だよ、うん。」


「へー、杏ちゃん僕から逃げたの?」


「あー!」


思わず口を抑えた。



< 41 / 56 >

この作品をシェア

pagetop