二次元ガールとモテモテボーイ
「あわ…すいません!」
反射的に謝ったものの
今のあたしには相手の顔を確認
する余裕なんかない。
再び急いで屋上に向かって走ろう。
と思ったのも束の間。
男子生徒をよけて走ろうと
一歩踏み出した時腕を掴まれた。
前にもあった、確実にあった感覚。
確かあの日駅で椎名颯真に…。
少し嫌な予感がしてきた…。
いや、偶然、偶然だよね。
「だって椎名颯真は売店に居て、
あたしは見つからないように
走って来たんだよ。
だから椎名颯真はあたしと鉢合わせする
ことは不可能だよ、うん。」
「へー、杏ちゃん僕から逃げたの?」
「あー!」
思わず口を抑えた。