369日の空。
幼なじみの君

「もういくの?」
「うん。いってくるよ。」
寒い冬。
私はマフラーに顔を埋めながらお母さんにこたえた。
「百合?」
お母さんが玄関を出ようとした私を呼び止める。
「なぁに?」
「何でも無いわ、お弁当もったわね?」
「うん。」
笑顔で答えるとお母さんも笑って見せた。
外は雪で真っ白。
制服のスカートからででいる白い肌は、寒風にさらされ、
ほんのり赤くなっている。
家から一番近い十字路、そこにたっていたのは、
「春ちゃん。」
「だからその呼び方やめろって、女みたいじゃん!
春くん!だろ!?]」
幼なじみの春ちゃん。じゃなくて春くん。
斉藤春樹。
「いいでしょ?慣れてるんだから。」
春ちゃんは私がそういうといつも
「ったく。」っていって流してくれる。
春ちゃんとは幼稚園からの友達。
いつもそばにいてくれた。
怪我をしたときは、すぐに「大丈夫!?」と心配そうに
駆け寄ってきてくれる、とっても優しい人。
高校2年生になった今はすっかりかっこよくなって、
身長も25cmの差がある。
昔はそんな変わらなかったのに…。
「俺もう学校いくけど、一緒に行くか??」
優しいのはわかってる。
彼女がいるのもわかってる。
だから私はいつも、
「大丈夫。一人でいけるから。」
って断る。そうすると決まって春ちゃんは、
「おう。そうか、」って寂しそうに言う。
「なんで瀬奈ちゃんと行かないの??」
瀬奈ちゃんは春ちゃんの彼女。
いつの間にか、春ちゃんには彼女が居た。
私も知らなかった。
それほど春ちゃんは私から遠い存在になっちゃったみたい。
「川村は方向逆だから。」
「そう。じゃあ学校でね。」
瀬奈さんは黒髪の綺麗に巻かれたロングヘアの綺麗な人。
春ちゃんはワックスで固めたほわほわの髪に茶髪。
どう考えてもお似合いの二人。
「なぁ百合?」
春ちゃんが悲しそうな顔で、私をよんだ。
「なぁに?」
「…どこにも、行くなよ?」
????
「どういう意味??」
いきなりの言葉に意味がわからない私は、
はてなマークがとんでいた。
「バカ。鈍感すぎんだよ。」
そういうと、反対側の十字路へ走って行ってしまった。
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