ひとひらの
「夏野チャ~ン、起きてる~?」

「ふぇ~…?」

「1杯呑み切っただけなのに、弱いねぇ。」

「ん~…」

なにこれ、すごいフワフワする。
楽しいとも、面白いとも違う。
ウキウキとか、ワクワクに近い感覚。

「…ねむいかも~」

「何言ってんの、まだ呑むでしょ?」

今井さんは、どこか嬉しそうに
メニューを手に取り、店員さんを呼んだ。

何かを頼み、店員さんが去って行ったみたいだけど
私にはもうよくわからなかった。

そしてまた違う店員さんが、
お酒を運んでくる。


「お待たせしました~
って、あれ?夏野さん?」


「ふぇ?」

聞き慣れた声に、思わず顔を上げる。

ボヤボヤとした視界で、
相手は誰かわからなくて、

「だれ~?」

と思わず聞いていた。


それと重なるように向かいに座る今井さんが、

「吉川さん…」

と気まずい声をあげた。
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