ひとひらの
「へ、吉川さん?」

「うん、吉川です。」

「…なんで……?」

「あ、今井さんがよかった?」
「いや、そんなことは、断じて…!」

訳がわからないまま、慌てて否定する私に
吉川さんはまた笑った。

目を細めた、柔らかい表情は
いつ見てもホッとする。

「ちなみに今日は、祝日でーす。」

「あ…」

良かった、学校じゃなくて…。

「それより、昨日、私、」

「あー覚えてない?」

「…すいません。」

「んとね、昨日はね~、

俺のバイト先に今井さんと夏野さんがきて~
夏野さん酔って寝ちゃってて~
今井さんも夏野さん家わかんないって言うから、
仕方なく俺ん家に連れてきたってだけ~。」

相変わらずヘラヘラと話す吉川さんに
緊張が少しとけた私は、

「あの、ご迷惑おかけしました。」

と、小さく頭を下げた。

すると吉川さんはやっぱり笑って

「お酒はハタチになってから、ね。」

と答えた。
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