ひとひらの
「おつかれさまです~」

それは、吉川さんだった。

すると柔らかく微笑む吉川さんとは対照的に
今井さんの表情は更に強張るのがわかった。

「じゃ、じゃぁまたね、夏野サン。
お疲れ様。」

「あ、お疲れ様です。」

そしてすぐに更衣室へ入って行ってしまったのだ。


「夏野さん、今上がり?」

そんな今井さんを構うことない様子で
吉川さんは私に声を掛けた。

「あ、はい。
吉川さんは今日休みじゃなかったですか?」

「うん、今日はちょっとシフトの確認に~」

「あ、そうなんですか」

「調子はどう?
二日酔いとか。」

「あ、全くないです。」

「ホント?よかった。」

そう言って笑う吉川さんに
もう一度お礼を告げ、

私も更衣室へ向かおうとすると

「あ、これあげる。」

と、ポケットから何かを差し出してきた。

「さっきバイト先で
もらったやつだけど。」
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