ひとひらの
爽やかな5月晴れの、土曜日。

今日もこのスーパーでは、
朝からいつものやり取りがされていた。

「吉川くん、何度も言って悪いんだけど
その髪色、もう少しなんとかならない?」

「え~だってこれ、自毛ですし~」

優しい栗色の髪をくしゃらせながら
チーフに答える彼。

「例え自毛でも、決まりは決まりなんだから。」

「痛んじゃうじゃないですか~
こないだパーマあてなおしたばかりなのに~」


「パーマって…!
あなた、前それは天パだって
言ってませんでした?」

「あ~…そうでしたっけ?」

にへらへらと開いてるのかわかんないくらい
目を細めて彼は笑った。

あなたねぇ!と顔を赤くして怒るチーフを尻目に

「あ、お客さん来ちゃいましたよ~」

吉川さんはレジへ戻っていった。

「吉川くん!」
と依然として怒るチーフに

「まあまあ、吉川さん目当てで来る
お客さんもいるんですから。」

と、もうひとりのパートさんがフォローする。


いつもの光景だ。
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