ひとひらの
向かったのは、
シフト表が置かれている事務室。

でも、そこに吉川さんの姿はもうなくて…


『俺のバイト先に今井さんと夏野さんがきて~
夏野さん酔って寝ちゃってて~
今井さんも夏野さん家わかんないって言うから、
仕方なく俺ん家に連れてきたってだけ~。』


「ほんと、何考えてんだろ…」

何も知らなかった自分が、
とにかく恥ずかしくて

ちゃんと、ちゃんとした意味で
お礼を言いたかったのに、

誰もいない事務室で

吉川さんの、あの無条件の優しさに
私は涙が出そうになった。
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