ひとひらの
荒々しいチーフを尻目に、
私もいそいそとレジについた。

「いいんですか?
チーフいつもに増して怒っちゃってますけど…」

たまたま後ろのレジだった吉川さんにそう言うと、

「うん、あれは俺とチーフの
挨拶みたいなものだから。」

と、また笑った。


自毛だと言ったその栗色の髪は
窓から差し込むお日様の光に当てられて
根元の色との違いがはっきりする。

敢えて言わなかったけど、
自毛だなんて言ったのもきっと嘘。


吉川さんは、そんな人なんだ。
< 3 / 33 >

この作品をシェア

pagetop