ひとひらの
話題は専らバイトの話。

「よくさ、ちょうどの額のお金を置いて
スタスタと出ていっちゃうお客さんとかいるじゃん?」

「いますね~
『ありがとうございました』も言えなくて
ちょっと寂しいですよね。」

「そうそう。
逆に、『ありがと』って言ってくれたときって
すごく嬉しいよね。」

「わかります。
そういうのがあるから、
自分は店員に優しいお客さんになろう
って思うんですよね。」

「わかるわかる。
『オレンジが2点ですね~』に
『ハ~イ』みたいな。」


「ふふっ。
ほんとにそんな感じ。」


「見ればわかることでも
確認しなきゃいけないっていうルールだもんね~。」

「それから…」




きっと吉川さんが気を遣ってくれたからなんだろうけど

吉川さんとのご飯は、話の尽きないひと時になった。


こうやって向かい側に彼が座っていて

私との時間を笑っていてくれて…


やっぱり、好きだなって思った。


そう思うだけで、幸せだった。
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