ひとひらの
「あ、休憩?」

食堂でご飯を食べていると、
吉川さんが来た。

「はい。吉川さんも?」

「いや、俺はもう上がり。
コーヒーが飲みたくなって。」

なんて言って彼は、
自販機に小銭を入れた。

「珍しいですね、こんな早上がり。」

吉川さんや私のような学生アルバイトは
平日夕方からしか入れない分
土日は朝から夜までのロングで
入れられることが多い。

私みたいな馬鹿な暇人は、
公休希望でも本当に予定のある日しか
休みを入れないから、

容赦ないシフトを組まれるんだ。

「うん、今から行くところあってね。」

ガシャンと出てきた缶コーヒーを
取り出しながら彼は言った。

「はい、あげる。」

「へ?」

彼が差し出してたのは、
先程取り出した缶コーヒーだ。

「間違えて甘いの買っちゃった。」

そう言って笑う彼の反対の手には、ブラックがあった。

「あ、ありがとうございます…。」


「うん、がんばってね。」


そう言って彼は、食堂を出て行った。
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