ひとひらの
19時になり、私も上がって
今井さんに連れられてきたところは

近くの居酒屋だった。

高校生の私は居酒屋なんて初めてで
少しドキドキしていたけど

それに気づかれるのが恥ずかしくて
平常心を装っていた。


「オレ烏龍茶。
夏野サンは?」

「え、じゃぁ私も。」

店員にファーストドリンクを聞かれ、
戸惑う私は慌てて今井さんと同じものを頼んだ。

すると彼は

「呑みなよ。
オレ運転だから呑めないけど。」
と笑った。

「いや、私まだ」
「これ1つで。」

未成年であると伝えようとする私の言葉を遮り、
彼は店員さんにメニューを見せながら
何かを頼んでしまった。


「ダメじゃん。
店員の前で未成年なんて言っちゃ。」

去っていく店員さんを尻目に、
彼は悪戯っ子のように笑った。
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