ハネノネ ‐the world that you saved.‐
町はどこもかしこも真っ白だった。
ハネノネの毒と、触れたら冷たく溶ける結晶のようなもので入り混じっている。
しばらく歩いていると、倒れている人影が見えた。
別に珍しくもないが、調べる必要がある。
倒れていたのは成人ほどの男性。
ハネノネの毒とは少し違った羽根のようなものを傍らに死んでいた。
口許にもその羽根が付いている。
よく見ればこの男、“ユウイチ”に似ている気もする。
だいぶ昔の写真を見たことしかないが、ハネノネでチキュウを殺す引き金になった人間だ、と習った。
ハネノネ、という名を与えた人間でもある、と。
ハネノネも僕らとなんら変わりなく生まれてきた子だが、誰も名前は知らなかった。
ふと見ると、男の横にフタをされた二本の試験管が転がっていた。
中には液体が入っている。
「おい!見てみろよ!こんなノート見つけたぜ!」
調査隊の仲間が一冊のノートを掲げて走ってきた。
嫌な予感がする。
「オレ、この国の言葉は読めねーから翻訳してくれよ」
渡されたノートを、恐る恐る開いた。